Dr.中川のがんから死生をみつめる:/55 若い女性の発症多く
中川先生のコラムです。
今回は若い女性のがんの発症の問題です。
Dr.中川のがんから死生をみつめる:/55 若い女性の発症多く
<以下、記事の引用です>
Dr.中川のがんから死生をみつめる:/55 若い女性の発症多く私たちの遺伝子には、ただ生きているだけでも傷がついていきます。このことが老化の大きな原因です。
がんも、一言で言えば細胞の老化です。年齢とともに、遺伝子に傷が蓄積し、死なない細胞、つまりがん細胞が生まれやすくなります。
年齢とともに、毎日できるがん細胞の数も増えていきますし、出来立てのがん細胞を退治する免疫細胞の働きも衰えていきます。その結果、年齢を重ねると、がんが増えていくことになります。
このため、胃がんや肺がんなど、ほとんどのがんは、高齢者ほど多くなります。ところが、乳がんや子宮頸(けい)がんは、話が別です。乳がんが一番多いのは40代後半ですし、子宮頸がんは30代後半です。
乳がんは、女性ホルモンの刺激が原因になります。出産経験の多い女性に乳がんが少ないのは、妊娠期間中にホルモンのバランスが変化することが大きな理由です。授乳も乳がんを減らします。そして、50歳くらいで閉経を迎えると、女性ホルモンの分泌が止まりますから、更年期以降は乳がんが減るのです。男性は高齢になっても男性ホルモンが出続けますので、前立腺がんは、年齢とともに増えていきます。
子宮頸がんの場合、原因のほぼ100%が、性交渉による「ヒトパピローマウイルス」の感染ですから、性交渉の経験がない女性には子宮頸がんはまず起きません。乳がんが急増している一方で、子宮頸がんが減っているのは、家庭に風呂が普及して性交渉が衛生的になり、ウイルス感染が減ったことが背景にあると思われます。
しかし、最近は20代、30代の女性の子宮頸がんが急増し、一番多いのは30代後半です。10代からの性交渉が増えたことが原因と考えられています。
女性は若い世代でも、がんはめずらしくありません。そんな30代、40代の女性は、仕事や子育てに最も忙しい年代でもあります。子宮頸がんでは、「妊娠した」と思って喜んで婦人科を受診した女性が、がんの宣告を受けるという悲劇が後を絶ちません。次回は、そんな悲劇を防ぐ方法について説明したいと思います。(中川恵一・東京大付属病院准教授、緩和ケア診療部長)
