Dr.中川のがんから死生をみつめる:/30 過去の患者からの贈り物
今回は病院のランキングのお話です。
病院の腕前はランキングではわからないものなんですね。
治療データで判断するのは難しいということです。
Dr.中川のがんから死生をみつめる:/30 過去の患者からの贈り物
<以下、記事の引用です>
Dr.中川のがんから死生をみつめる:/30 過去の患者からの贈り物「病院ランキング」のような本が人気です。しかし、そこで紹介されている治療データを見るとき、注意が必要です。
たとえば、同じ進行度の同じ種類のがんの「5年生存率」を比べ、A病院がB病院よりも優れているとなっていても、A病院の方がよい治療を受けられるとは限りません。仮に、二つの病院で、同じ年齢構成のがん患者を100人ずつ治療し、それぞれ20人ずつ再発して亡くなったとすれば、二つの病院のがん治療の腕前は同じくらいと言えます。
しかし、A病院の患者の平均年齢が60歳、B病院が80歳だった場合、A病院の方の5年生存率がよくなって当然です。B病院で亡くなる患者には、がん以外で亡くなる患者も多く含まれるからです。このような判断をするとき、役に立つのが「がん登録」です。がん登録によって集められた一人一人の患者のデータを基に分析しなければ、正しい情報は得られません。
がん登録を患者の同意を得ずに実施することも重要になります。たとえば、同じ治療をした肺がんの患者が200人いたとします。このうち、体調の良い100人が登録に同意し、症状が重い100人は同意しなかったとします。5年後、同意した100人のうち80人が生存、同意しなかった患者は全員亡くなった場合、データに残る5年生存率は80%になります。ところが、200人でみると生存者は80人ですから、実際の生存率は40%になります。
複数の病院を受診する患者も多いため、各病院のデータを都道府県単位で集める際、同じ患者のデータの重複を避けるため、名前や生年月日などの個人情報を照合する必要があります。つまり、がん登録では、全例登録と個人情報の利用が前提となります。がん登録の法制化が望まれる理由です。
データは、一部の研究機関や学者が独占するのではなく、きちんと公表し、国民に利用されなければなりません。そうなれば、次の世代の患者さんは、どの病院がよいのかといった、有益な情報を活用できます。そのとき、がん登録は「過去の患者さんからの贈り物」になるのです。(中川恵一・東京大付属病院准教授、緩和ケア診療部長)
