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Dr.中川のがんから死生をみつめる:/28 寿命に限りがあるわけ

Dr.中川のがんから死生をみつめる:/28 寿命に限りがあるわけ

中川先生のコラムです。

前回のテロメアという今年のノーベル医学生理学賞の受賞テーマになったお話の続きですね。

DNAの二重螺旋構造の説明から生命の寿命にまでお話は続きます。

今回も勉強になりますね。

Dr.中川のがんから死生をみつめる:/28 寿命に限りがあるわけ
<以下、記事の引用です>


Dr.中川のがんから死生をみつめる:/28 寿命に限りがあるわけ

 私たちの寿命に限りがあるのは、今年のノーベル医学生理学賞の受賞テーマとなった「テロメア」(染色体の末端部)に関係があります。

 私たちの46本の染色体は、それぞれ1本の「ひも」といえます。46本をつなげると全長は2メートルにもなります。人体は約60兆個の細胞からできていますから、からだ全体のDNAを合わせると、1200億キロにもなります。これは地球と太陽の距離の約800倍です。

毎日、細胞のほぼ1%が死ぬといわれ、同じ数の細胞分裂が必要ですから、私たちの体内では毎日、太陽までの距離の8倍のDNAを複製しているわけです。長生きし、複製ミスが蓄積してできた「不死細胞」が、がん細胞です。

 さて、私たちのDNAはひも状ですから、末端(テロメア)がありますが、細菌のDNAは、輪ゴムのような「環状」です。ひも状のDNAでは、DNAの端の部分が複製できません。

たとえば、ひもをカッターで左から右に裂く場合、左端の部分を固定しなければ、上手に裂くことはできません。固定された部分は、裂けないまま残ります。同じようなことが、ひも状のDNAの複製でも起きるため、端の部分が複製できずに、分裂後のDNAが短くなります。

一方、輪ゴム状であれば、一周すれば完全に裂くことができます。細菌が無限に分裂できる理由です。

 私たちのひも状のDNAは、複製のたびにテロメアが短くなり、50回くらい分裂すると、それ以上は分裂できなくなります。私たちの命に限りがあるのはこのためです。

例外は生殖細胞とがん細胞で、複製で短くなったテロメアを伸ばすことができるため、寿命がありません。このテロメアの役割と、テロメアを伸ばす酵素「テロメラーゼ」の発見に、今年のノーベル賞が授与されます。

 もともと生き物には寿命はありませんでしたが、私たちの先祖は19億年ほど前、「限りある命」を選択しました。

これは、ひも状のDNAでなくては、有性生殖に必要な卵や精子を生み出せないためでした。

以前にもお話ししましたが、進化の過程で、私たちは「個体の死」と引き換えに「性」を創造し、「かけがえのない」、多様な子孫を残せるようになったのです。

(中川恵一・東京大付属病院准教授、緩和ケア診療部長)

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