Dr.中川のがんから死生をみつめる:/19 原爆の放射線の影響
中川先生のがんから死生をみつめる-19-です。
原爆の放射線の影響で白血病やがんになってしまうことについてのコラムです。
わずかな放射線を浴びただけでも5年後、10年後にがんになっていく!
恐ろしいことです。
現代では原子力発電所が近くにあるので、東海地震が起きた時のことが非常に気になります。
放射線漏れがないように祈るしかありませんね。
Dr.中川のがんから死生をみつめる:/19 原爆の放射線の影響
<以下、記事の引用です>
Dr.中川のがんから死生をみつめる:/19 原爆の放射線の影響原爆投下直後の建物の倒壊や火災、被爆者のやけどや死亡は、爆風や高温によるもので、放射線とは関係がありません。
では、広島、長崎の原爆による放射線の影響はどのようなものだったのでしょうか。爆心地近くの被爆者には、数時間で嘔吐(おうと)が見られ、数日後には、下痢や脱毛が起きました。爆心地近くで、全身に浴びる放射線の量が3グレイ程度になると、2カ月以内に半数の被爆者が死亡しています。こうした影響は、ある程度の量の放射線を受けないと発生しないという特徴があります。ひどい脱毛も、1グレイ以下の放射線では、ほとんど起こっていません。
しかし、被ばく放射線量がわずかで、一見なんの影響も受けなかったようだった生存者の人たちに、その後、白血病やがんが増えていきました。
白血病は被爆後2年ごろから増え始め、6~8年後にピークを迎えました。1グレイの被ばくによって、白血病を発症する危険性は5・6倍になると推計されます。また、白血病以外のがんは、被爆後10年ごろから増え始めました。1グレイの被ばくでは、白血病以外のがんのリスクが約1・5倍になると考えられています。被爆者の場合、白血病による死亡の約半数と、それ以外のがん発症の10%が、放射線被ばくによるものと考えられます。原爆に原因があると思われるがんの発症は、全体で2000人程度と推定されています。
被爆者にがんが多いのは、放射線に被ばくした細胞が、生き残ったとしてもDNAに傷が残ってしまうことが原因です。生きているだけでもDNAは傷つきますが、放射線被ばくでは短時間で多くの傷がつきます。遺伝子の老化が急速に進んだようなもの、と言えるでしょう。
原爆でがんが増えたのは事実です。ただし、被爆者のがんも通常のがんと同じですから、個々のがんについて、発がんの原因が被爆によると証明することはできません。原爆症認定の難しさの一端がここにあります。
それでも、今回、原爆症認定訴訟で全員救済の道筋が示されました。国のために犠牲となった方々に敬意を払うのは当然だと思います。(中川恵一・東京大付属病院准教授・緩和ケア診療部長)
