Dr.中川のがんから死生をみつめる:/15 人工呼吸器の影響
Dr.中川先生のコラムです。
今回は人口呼吸器についてです。
人工呼吸器による延命の問題は、一度付けてしまうと外すことができない!という大きな問題になります。外せば殺人になるわけですね。
心臓は人口呼吸器をつけてしまうと、脳死になっても酸素さえ与えてあげれば動き続ける臓器なのだそうです。
昏睡状態のまま生きていても、意識はないわけですから生きていることにはなりません。
私がそのときになったら延命はしてほしくないです。
自分の死に方は今から決めておく必要がありますね。
Dr.中川のがんから死生をみつめる:/15 人工呼吸器の影響
<以下、記事の引用です>
Dr.中川のがんから死生をみつめる:/15 人工呼吸器の影響13日の参院本会議で、「脳死を人の死」とすることを基本とするA案が可決され、12年ぶりに臓器移植法が改正されることになりました。
「脳死」では、「人工呼吸器」の存在が不可欠です。1970年代に人工呼吸器が普及するまで、脳死は存在しませんでした。つまり、脳死は「最近できた死」なのです。
脳の機能が低下して呼吸が止まれば、心臓も止まり、やがて、すべての臓器が停止します。これが「心臓死」です。この死の過程を、人工呼吸器が変えました。心臓は、酸素さえあれば、脳からの指令がなくても拍動します。人工呼吸器によって呼吸を保てば、従来の「心臓死」に至らない状態を維持できるようになったのです。
人工呼吸器は、がん患者の皆さんの「死のあり方」にも影響を与えました。四半世紀前、私が医師になったころは、末期がんの患者さんの容体が悪くなると、人工呼吸器をつけることが少なくありませんでした。口やのど元に開けた穴からチューブを気管の中に入れ、濃縮した酸素を機械で送り込みます。意識があれば当然苦しいですから、鎮静剤で昏睡(こんすい)状態にします。
数日の延命は得られますが、話すことはおろか、意識もなくなります。がんはおだやかに進む病気ですから、痛みさえとれば、残された時間を家族や友人と豊かに過ごすことができるはずなのに、そのチャンスが失われてしまいました。
人工呼吸器をつけても、がんは進行しますので、やがて、臓器の働きも低下します。まさに「時間かせぎ」です。そして、心臓の動きも弱まると、手で心臓を動かす「心臓マッサージ」をすることもありました。家族は病室の外で待ち、そして、心電図の波形が完全に平らになると病室に呼ばれ、死亡宣告を受けたのです。これでは、心の通う「さよなら」の時間はありません。
今では、末期がんのこうした「蘇生措置」はしない傾向です。ただ、病院での死には、無機的な面が存在するのが現実といえます。私が、がんで死ぬときは、「蘇生措置不要」と、はっきり書いておくつもりです。(中川恵一・東京大付属病院准教授、緩和ケア診療部長)
