特集:ドクター中川の続“がんを知る”公開講座(その1) 基調講演ほか
<ドクター中川>先生の公開講座が開かれ、先生の基調講演がありました。
山田邦子さんも体験談をパネルディスカッションで話されています。
ぜひ、記事のリンク先で読んでみてください。
<特集:ドクター中川の続“がんを知る”公開講座(その1) 基調講演ほか>
<以下、記事の引用です>
特集:ドクター中川の続“がんを知る”公開講座(その1) 基調講演ほか◇「国民病」正しい理解を 早期発見で助かる命
◇東大安田講堂に1000人
がんの正しい理解を呼び掛けるシンポジウム「ドクター中川の続“がんを知る”公開講座」が4月28日、東京大安田講堂(東京都文京区)で開かれた。約1000人が参加し、毎日新聞で「がんから死生をみつめる」を連載中の中川恵一・東大病院放射線科准教授の講演に耳を傾けた。タレントで乳がん経験者の山田邦子さんが体験談を語り、参加者たちとともに合唱すると、会場が一つになった。パネルディスカッションには、がん保険のアフラックでがん啓発活動に取り組む永江美保子さんが加わり、「生きるを創る」をテーマに早期発見、早期治療の重要性などについて話し合った。(パネルディスカッションの司会は斗ケ沢秀俊・科学環境部長)■基調講演
◆中川恵一・東京大付属病院放射線科准教授
◇がん教育を学校現場で
日本は2人に1人ががんになる、世界一のがん大国です。かつて日本人の死因は結核が1位でしたが、急速に減りました。戦後、脳卒中や心臓病が増え、これらもやがて減りました。衛生環境や医療が良くなれば、多くの病気は克服されます。最後に残るのが、がんなのです。1981年にがんが死因の第1位になり、以降は独走傾向です。先進8カ国で、人口10万人あたりのがん死亡数が増えているのは日本だけ。日本のがん対策は遅れています。そもそも日本は医療にお金をかけていません。高齢化が進み、本来は一番お金がかかるはずですが、国内総生産(GDP)に占める医療費の割合が、日本は8%と先進国で最下位です。一方、公共事業の割合はトップクラスですから、「道路は造るが、命にお金をかけない」国といえます。
がんは自分の細胞のコピーミスによってできます。私たちの体では、日々細胞分裂を繰り返していますが、細胞分裂でDNAをコピーする時、ミスが起きます。ミスでできた細胞は、普通は自然に死にますが、ときに死なない性質の細胞ができます。これががん細胞です。多くの場合、がん細胞は免疫細胞のリンパ球によって殺されますが、取りこぼすこともあり、生き残ったがん細胞が増えると、がんとして発見されるのです。
がんは、30~40歳以上になると増えます。男女別では男性の方が多い。喫煙などの生活習慣が大きな原因です。たばこがなくなれば、男性のがんの3分の1はなくなります。実は、がんの治療成績はあまり上がっていません。大阪府のデータによると、過去40年間の肺がんの罹患(りかん)率と死亡率を示す折れ線グラフが平行状態です。治療法がよくなれば、死亡率が下がり、罹患率との差が大きくなるはずです。
がんで死なないためには、どうしたらよいのでしょうか。2段構えで考えましょう。まず、がんにならないこと。がんの原因が10あるとすれば、そのうち3はたばこ。さらに、食事や運動など良い生活習慣を心がけると、2から3減らせます。残りは運です。聖人君子でも、がんになることがあるのです。
このため、次に大事なことは、がんを早く見つけるため、がん検診を受けることです。検診で発見できる早期がんは1~2センチで、1センチの乳がんが2センチになるのに必要な時間は、およそ1年半ですから、乳がんは2年に1回検診を受けるよう勧められるのです。
問題は検診受診率の低さです。検診が特に有効とされるのは、子宮頸がんと乳がん、大腸がんです。子宮頸がんの受診率は米国では85%ですが、日本では21%にとどまります。
世界一のがん大国でありながら、日本人はがんのことを知らないため、生活習慣を変えることにも、検診を受けることにも積極的ではありません。だから私は学校でこそ、がんの教育をする必要があると考えています。
4月から毎日新聞で「がんから死生をみつめる」という連載を始めました。約38億年に及ぶ生き物の歴史のうち、約20億年は大腸菌のような生物しかいませんでした。大腸菌に寿命はなく、ただ分裂するだけです。連載では「死ぬことは、進化の過程で創造された。性があり、自分と他人が違うというかけがえのなさが、実は死を運命付けている」という、生と死の本質について書いていく予定です。
