Dr.中川のがんから死生をみつめる:/2 命に限りある理由
人間の命に限りがある理由は根源的なところから決まっているわけですね。
バクテリアには「性」も「自他」も「死」もないのです。そして、がんは、太古のバクテリアからの「不死」という性質を受けつぎ、「先祖返り」した細胞
その限りある細胞の中にがんという先祖返りした不死の細胞が出現してしまうことで、命は終わることになる。
いいお話だと思います。
<ソメイヨシノ>の桜のお話もためになりました!
<以下、毎日jpよりの引用です>
Dr.中川のがんから死生をみつめる:/2 命に限りある理由「散る桜 残る桜も 散る桜」。良寛の辞世の句と言われています。「おまえとおれとは同期の桜」ではありませんが、同じ時期に咲き誇り、いっせいに散る桜の姿に日本人は生と死を見つめてきました。
しかし、この姿は日本の桜の8割をしめる「ソメイヨシノ」のものです。ソメイヨシノは江戸末期に、野生種であるオオシマザクラとエドヒガンを交配して作られました。人工的に作られた雑種で、種子ができないため、自力で繁殖することはできません。人間が挿し木などで増やす以外に、この桜が地球上に生き残る方法はないのです。日本中のソメイヨシノは、江戸の染井村で人工交配によって作り出された桜そのものと言え、完全に同じ遺伝子を持っていますから、同じような環境のもとでは、開花も散り際も見事に「同期」になるというわけです。
そして、人間が枝を手折って土に埋め直さなければ、100年もすると地上から姿を消す運命にあるのです。
ソメイヨシノのような、まったく同じ遺伝子をもった生物や細胞のことを「クローン」と呼びます。植物の世界では、挿し木や株分けなどによるクローンはめずらしくありません。たとえば、竹は地下茎でつながっているため、竹林全体が一つのクローンとも言えるのです。
しかし、私たち哺乳(ほにゅう)類の場合には、父親と母親の遺伝子を混ぜ合わせる以外に子孫を残すことができません。そして、この過程で子どもの遺伝子は世界でただ一つのものになります。「有性生殖」こそが、私たちが「かけがえのない自分」である理由であり、そして、これからお話ししていく「私たちの命に限りがある原因」とも言えます。
逆に、挿し木などの「無性生殖」を繰り返す場合、「死」はありません。バクテリアは無性生殖の一つである「細胞分裂」によって増え、環境さえよければ無限に増殖します。バクテリアには「性」も「自他」も「死」もないのです。そして、がんは、太古のバクテリアからの「不死」という性質を受けつぎ、「先祖返り」した細胞とも言えるのではないでしょうか。(中川恵一・東京大付属病院准教授、緩和ケア診療部長)
