がんと闘う女医さんが語っています。
がんと付き合って22年、すさまじい精神力ですね。
こんなお医者さんに診て貰いたいものです。
まだまだがんに負けないでがんばって欲しいですね。
「人間、好きになったかな」-がんと闘う女医のつぶやき 5月1日13時18分配信 医療介護CBニュース「人間好きの医者になったかな」と語る小倉恒子さん
耳鼻科医の小倉恒子さんはつぶやく。「人間が好きになったかな」。34歳で乳がんになった。その後、再発を繰り返し、56歳の今、全身に転移している。「末期がんになっても、精神的に健やかなんです」と、ほほえむ小倉さん。がん患者として治療を受けながら、医師として医療活動を続ける中で感じた医師の在り方について聞いた。■「乳腺外科医が見たら、末期がんですよ」
発病から22年。小倉さんの現在の症状は、骨転移だけで30か所、肝臓に20か所転移し、胸水はたまり、縦隔リンパ節も肺門リンパ節にも転移、腹腔内にはたくさんの転移がある。経過はどんどん悪くなっているという。
朝起きると腰が痛い。骨転移からくる痛み。動けないからまず、腰痛剤を塗ります。足にはしびれ。抗がん剤の影響です。副作用でおなかを下しても、薬を止めれば治るけど、神経系のしびれは治りません。このしびれは、2年くらい前に止めた抗がん剤の影響。医師からは、『しびれは一生続く』と言われています。筋肉のつりもあります。これもおそらく、同じ抗がん剤の副作用です。足の裏数か所。足首は寝返りを打っただけでつります。一気に8か所つることもあります。手もつる。
どんどん経過が悪くなっている。乳腺外科医が見たら、末期がんですよ。淡々と語る小倉さん。「自分はがんだ」と、はっきり自覚して受け入れたことで、「強くなれた」という。がんを否定したり、がんになったことへの怒りを感じたり、「生きたい」と神仏にひたすら願ったり、そうした感情の変化を何度も繰り返しながらも、小倉さんは、がんについて学び、知ることで、常にがんと正面から向き合ってきた。そして今、こう語る。「末期がんになっても、精神的に健やかなんです」
乳がんの本に、『自己検診はこうする』『乳房温存術はこうする』とか、初期のことはいっぱい書いてあるけど、再発や再々発してからどういう治療をどうしていくのかは、ほんの少ししか書いてない。(初期がん患者の方が)人数が多いこともあるでしょうが、(末期の患者を)怖がらせないために書かないのではないかと思う。怖いものにはふたをするというのは、わたしはあまり好きではない。
『病気になっても病人になるな』ってこと。体の中の(がん細胞との)闘いがいくら多勢に無勢であっても、頭の中では常に自分が勝つ。頭の中で勝つのは自由だよね。どんな状態であれね。(わたしは)この期に及んでも、末期がんになっても、精神的に健康で健やかなんです。■「人間好きの医者になったかな」
小倉さんは今、月曜日から土曜日まで千葉県内の4つの病院やクリニックで、非常勤の耳鼻科医として勤務している。がんを患う前よりも「人間好きになった」。医療現場では、患者に話し掛けることが、大切だと気付いたという。
結構人間好きになったかな。患者さんに対してもすごい言葉を掛けることが多い。そういう意味では、いい医者になったかなと思います。患者さんに対して興味がわくんですね。自然に。人間対人間の付き合いになる。医者と患者は上下関係じゃない。ほかの医者にも、人間好きの医者になってほしいと思う。その方が絶対に自分の診療がうまくいくし、自分のためでもある。おしゃべりな医者は全部説明するし、そうすると誤解は生じない。『言霊(ことだま)は医者の身を守る』。いろいろな言葉を投げ掛ければ、患者さんは安心するし、理解する。理解すれば少しくらい痛かったり、つらかったりしても、文句は言わないよね。
目を見ない医者は駄目。患者さんの目をじっと見て話す医者がいい。わたしはまず患者さんの目を見て、初診の場合には自分用のメモを取る。入って来る時から全部見てるんですよ。『こんにちは』って言いながら。例えば足を引きずってるとか、下向き加減だったとか、姿勢が傾いてたりとか。それも一つの視診というか。
視診、触診、打診。昔の医者はそればっかりやってた。今は採血をして結果が出てから、どうだこうだ言うけど、昔の医者は脈を取ったりとか、まず見る。それから触る。それから聴診でしょ。打診する医者なんて今いる?
古典的と思ってるかもしれないけど、現代でもやらなきゃいけない。■「偏差値だけじゃ駄目なんだよ」
患者としてがんと闘いながらも、医師として医療活動を続けてきた小倉さんが、患者に薦めるのは、患者に興味を持ってくれる医師。一方、医療現場で患者と向き合う医師たちへはこうメッセージを送る。「偏差値だけじゃ駄目なんだよ」
患者さんに薦めるのは、自分に興味を持ってくれる医者。人間対人間の付き合いをしてくれる医者。症状を聞くだけじゃなくて、その背景までよく聞いてくれる医者がいい。例えば『今、誰と住んでるんですか』とか、『最近、職場の様子は変わりましたか』とか。職業を聞くことも必要です。
いつもどんな姿勢を取っているかで、めまいが起きやすかったりとか、いろいろあるんですよね。どんな仕事をしていて、一日をどんなふうに過ごしているのか目に浮かぶような医者でないとね。何の医者でもそう。患者に興味を持たなきゃ。人間が好きな人でないと。偏差値だけじゃ駄目なんだよ。温かい血が流れているお医者さんになってほしい。
そんな人だったら、患者さんが今、何を悩んでいるのか、どこを痛いと感じているのか、どうしてあげればその痛みが取れるのか、悩みが取れるのかに気付くし、それをどう解決していこうかと思うじゃない? そういうことです。
