【がんと闘う ワクチン療法】(中)免疫療法 人により効果に差
ワクチン療法の<中>編です。
丸山ワクチンについて説明してくれています。
ワクチン療法は効く人と効かない人が現れてしまい原因は今だにわからないようですね。
最新のペプチドワクチンは万人に効いて欲しいものですね。
【がんと闘う ワクチン療法】(中)免疫療法 人により効果に差
<以下、記事の引用です>
【がんと闘う ワクチン療法】(中)免疫療法 人により効果に差 (1/2ページ)
2009.11.7 08:05中央薬事審議会で「有効性なし」の判定が出た後も、日本医科大学のワクチン療法研究施設には丸山ワクチンを求める患者家族らが列をなしていた=昭和50年代後半
■待たれるメカニズム解明
「がんワクチン」と聞いたときに、まず「丸山ワクチン」を思い浮かべる人は多いのではないだろうか。丸山ワクチンはがん細胞を直接、殺すのではなく、免疫の働きを強化してがんをたたくという薬。免疫を活性化するという点で、現在、臨床試験や治験が行われているペプチド(タンパク質の断片)などを利用したがんワクチンと考え方は同じといえる。◆謎解けた丸山ワクチン
日本ではこの丸山ワクチンが有名だが、「免疫を活性化してがんを治療する」という考えを世界で最初に実践したのは米国の外科医、W・B・コーリーだ。1890年代初期、コーリーは、がん切除術後に感染症に罹患(りかん)した患者の方が、罹患していない患者より経過がいいことに気付いた。免疫系に感染症だけでなく、がん細胞を攻撃する能力があると考え、数種類の病原菌の毒性を弱めるなどしたうえで、がん組織やその周囲に接種したところ、がんが小さくなったり、消えたりした患者が出たという。「コーリーの毒」と呼ばれたこの治療法は、20世紀初めに放射線療法が開発されると、興味を持つ医学関係者がいなくなり、長い間、顧みられることがなかった。
コーリーの毒に対し、丸山ワクチンは、日本医科大学元学長の丸山千里(ちさと)が結核の検査薬であるツベルクリンをヒントに昭和39年、がん治療薬として開発した。中には、がんが小さくなるなど効果の表れた患者もいたが、56年の中央薬事審議会(当時の厚生相の諮問機関)で「有効性が確認できない」との答申が出され、承認が見送られた。
1980年代には米国でも初期のがんワクチンが臨床に導入されたが、期待されたほどの効果がなく、丸山ワクチンの承認見送りと合わせ、「免疫療法は怪しげなもの」との印象が広まった。
この流れが変わったのは90年代に入ってからで、「自然免疫」の働きが解明されたことも影響している。
人間の免疫には、自然免疫と獲得免疫の2種類がある。それまで大した働きをしないと考えられていた自然免疫が、実は獲得免疫に指示を出す指令塔の役目を果たしていることが分かった。これを突き止めたのが大阪大学微生物病研究所の審良(あきら)静男教授(免疫学)で、この発見はコーリーの毒や丸山ワクチンに理論的な裏付けを与えることになった。◆リンパ球の動き検証も
丸山ワクチンは自然免疫、現在のがんワクチンは獲得免疫を主に利用するという違いはあるが、がんワクチン療法もこれまでに解明された免疫の理論に基づいて行われている。がんワクチンについて、審良教授も「効果があるのでは」と期待を寄せるが、一方で「効く人と効かない人がおり、なぜ人によって効果に差があるのか、そのメカニズムは分かっていない」と指摘する。丸山ワクチンは今、実費を患者が負担する有償治験薬となっている。理論的には多くのことが分かってきたがんの免疫療法だが、免疫をうたった治療法が玉石混交となっており、研究者にとって悩ましい問題になっている。
ペプチドワクチンを開発する東京大学医科学研究所の中村祐輔教授(同研究所ヒトゲノム解析センター長)は「今行っている臨床試験では、ワクチンで増えたリンパ球が、がんの組織に戻っているかどうかが検証できる。科学的な検証を重ねることで、1人でも多くのがん患者さんに希望を与えられる薬になれば」と話している。
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【用語解説】自然免疫と獲得免疫
免疫はウイルスや細菌などの異物を攻撃し、排除する働きのこと。その担い手は血液中の白血球で、生まれたときから体に備わっている「自然免疫」と、特定の相手に攻撃をしかける「獲得免疫」の2種類がある。自然免疫には樹状細胞、マクロファージ、NK細胞、好中球、獲得免疫にはB細胞、T細胞がある。
